魯の哀公(アイコウ:在位、B.C.494~B.C.467)が孔子に、門人の中でだれが一番学問好きですか、と訊ねたのに対して、孔子が顏回の名をあげ、その理由として、
① 腹を立てても八つ当たりするようなことはしない、
② 同じ過ちを二度と繰り返すようなことはしないからである。
と説明したことに基づいています。
孔子の学問が単なる知識の修得ではなく、人間としてこう有らねばならないという実学を目指していたことが分かります。
哀公問曰、弟子孰爲好學。
哀公問う、弟子、孰(たれ)か学を好むと為す。
魯の哀公が、お弟子さんの中で誰が一番学問好きですか、と訊ねました。
孔子對曰、有顔囘。
孔子対(こた)へて曰く、顔回なる者あり。
孔子が答えて言うには、顔回という者がおりました。
好學。
学を好む。
学問好きでした。
不遷怒、不貳過。
怒りを遷(うつ)さず、過ちを弐(ふた)たびせず。
怒りにまかせて、八つ当たりすることはしませんし、
同じ過ちを二度と繰り返すようなことはしませんでした。
不幸短命死矣。
不幸、短命にして死せり。
ところが、不幸にして短命でなくなりました。
今也則亡。
今や則ち亡(な)し。
今はもうこの世におりません。
未聞好学者也。
未だ学を好む者を聞かざるなり。
この者以外に学問を好む者があるとは、聞いたことがありません。