他人に頼らず、他人からも束縛されないで、自分の思うままに行動することです。
【独立】にはいくつかの意味があります、角川『新字源』からの引用です
① ひとりで立っている。
② 人の力を借りず自分の力で身を立てる。ひとり立ち。
③ 他人から見放されること。孤立。
④ ひとり抜きんでる。
⑤ 俗世間の外にある事。
【羈:キ】は、网(あみ)+馬+革から作られた会意文字です。おもがい(馬の頭部にまといつける綱)を
表す字として作られました。そこから「つなぎとめる」、「束縛する」という意味でも使われます。
中島敦『弟子』に、【独立不羈】がみられます。
『弟子』は、孔子の弟子である子路が、孔子の門弟となってから亡くなるまでの話です。
子路が他の所ではあくまで人の下風に立つを潔しとしない【独立不羈】の男であり、
一諾千金(イチダクセンキン)の快男児であるだけに、碌々(ロクロク)たる凡弟子然
(ボンテイシゼン)として孔子の前に侍(はんべ)っている姿は、人々に確かに奇異な
感じを与えた。
事実、彼には、孔子の前にいる時だけは複雑な思索や重要な判断は一切、師に任せて
しまって自分は安心しきっているような滑稽(コッケイ)な傾向も無いではない。
母親の前では自分に出来る事までも、してもらっている幼児と同じような工合である。
退いて考えてみて、自ら苦笑することがある位だ。