【直木(チョクボク)は先ず伐(き)らる】と訓読されまして、真っ直ぐに伸びた木は、利用価値が多いので、真っ先に伐採されてしまい、結果として長く活躍できない。だから自己顕示欲を捨てて地味に生きていきなさい。
『荘子』山木篇にみえる四字熟語です。孔子が弟子たちと大変な災難(陳蔡の厄)に遭ったことに絡んでの
荘子の意見です。
書名の『荘子』は『ソウジ』と読みます。人名としての荘子はソウシと読みます。
直木先伐、甘井先竭。
直木(チョクボク)は先(ま)ず伐(き)られ、甘井(カンセイ)は先ず竭(つ)く。
真っ直ぐに伸びた木はまず伐採され、うまい水のでる井戸はまず汲みつくされる。
子其意者飾知以驚愚、
子(シ)は其れ意(おも)うに、知を飾りて以て愚を驚かし、
あなたは、考えてみるのに、知識を飾り立てて愚か者をびっくりさせ、
修身以明汚、
身を修めて以て汚(お)を明らかにし、
自分の身を修めて他人の欠点をはっきりさせ、
昭昭乎如掲日月而行、
昭昭乎(ショウショウコ)として日月を掲げて行くが如し、
きらきらとしてまるで日月をかざして歩いているようなものだ。
故不免也。
故(ゆえ)に免(まぬが)れざるなり。
だから災難を免れないんだよ。