人を待ちこがれることを表わす四字熟語です。思慕の情が深いことを表します。
【三秋】は、三度の秋を迎えることから三年のことを言います。
【秋】の正字体は、禾(いね)+龜(いなごなどの虫の形。カメではありません)+火を組み合わせた会意文字です。
秋になると蝗(いなご)などが発生し穀物を食い、被害を受けるので、虫を焼き殺し、豊作を祈る
儀礼をしたのでしょう。その儀礼を示す字が【龝】で、「みのり」の意味となりました。
原義が「①みのり」です。それが「②四季のあき」から「③とき。大切なとき」、「④としつき。年月」の
意味も表すようになりました。
『詩経』王風(オウフウ)・采葛(サイカツ)というところに出ています。
彼(か)の葛(カツ)を采(と)らん
あそこの葛(くず)を採ってきます(と口実に)
一日(イチジツ)見(あ)わざれば 三月(サンゲツ)の如(ごと)し
(出かけてみたが、彼はいない)一日会えないだけで、まるで三カ月のように感じます。
彼の蕭(ショウ)を采らん
あそこの蕭(かわらよもぎ)を採ってきます(と口実に)
一日見わざれば 三秋(サンシュウ)の如し
(出かけてみたが、彼はいない)一日会えないだけで、まるで秋を三度重ねたように感じます。
彼の艾(ガイ)を采らん
あそこの艾(よもぎ)を採ってきます(と口実に)
一日見わざれば 三歳(サンサイ)の如し
(出かけてみたが、彼はいない)一日会えないだけで、まるで三年のように感じます。
この詩は宋の朱熹によれば、
仕事に託(かこつ)けて、春の野辺に出て草摘みをしながら恋い心を募らせることを歌ったものだそうです。