岸に繫がれていない舟ということから、流に任せて自然に生きている人の喩えです。
また心に蟠(わだかま)りがないことの意味にも使われます。菜根譚後集48条。
身如不繋之舟、
身(み)は繋(つな)がざるの舟(ふね)の如(ごと)く、
わが身は繋がれていない小舟のようなもの、
一任流行坎止。
一(いつ)に流行坎止(リュウコウカンシ)するに任(まか)す。
流れて行くも、難所の穴に止まるのも、任せきりである。
心似既灰之木、
心(こころ)は既(すで)に灰(はい)となれる木(き)に似(に)て、
わが心は既に焼け焦げた木の灰に似ている、
何妨刀割香塗。
何(なん)ぞ刀割香塗(トウカツコウト)を妨(さまた)げん。
刃物で切られようが、香料を塗られようがいっこうに気にならない