【貨(カ)、悖(もと)りて入(い)れば亦(ま)た悖(もと)りて出(い)ず】を略して、【悖入悖出】という四字熟語にしたものです。
不当な手段で手に入れた財産は、不当な手段によって出ていってしまう、と言うことを表しています。
【悖入】、【悖出】の【悖】の字は、あまりお目に掛からない字ですが、「忄」+「孛:ハイ」から出来る形声文字です。
「孛:ハイ」は字源的に言いますと「めしべがふくらんで、実をつけ始める意。内に激しい力があって、外にあらわれることをいう」のだそうです。白川静『字通』より。
「悖」は漢音読みが「ハイ」で、「ボツ」と読むのは慣用読みです。意味は「もとる」、「さからう」、「そむく」です。 熟語としまして「悖徳:ハイトク。道にそむく」、「悖然:ボツゼン。顔色を変えて怒る」があります。
【悖入悖出】は、儒教の経典として知られる四書五経のうちの「大学」の第六章に出ています。
言悖(もと)りて出(い)ずれば亦(ま)た悖(もと)りて入(い)り、貨悖(もと)りて入(い)れば亦(ま)た悖(もと)りて出(い)ず。
道にはずれた言葉を口から出すと、また道にはずれた言葉が他人から帰って来る
ように、道にそむいて手に入れた財貨は、また道にそむいて出ていくものだ。
【悖出悖入】の言は、「売り言葉に買い言葉」にあたるでしょうし
【悖入悖出】の貨は、「悪銭身につかず」にあたると思います。
消費税増税と社会保障と言うのが、【悖入悖出】にならなければと思います。