出典となっている『十八史略』東漢篇では、【志ある者は事(こと)竟(つひ)に成る】と訓読される
文章になっています。
志を曲げることなく、固い信念を以て事に当れば遂には実現される、ということです。
『キョウ。おわる』という言葉の文字化で、「音+人」から作られた会意文字が【竟】です。
【有志竟成】は齊攻略など不可能だと思っていた光武帝が、それを成し遂げた
耿弇(コウソウ)を称賛して述べた言葉です。
劉永(リュウエイ)が立てた斉王の張歩(チョウホ)という者が降参してきた。
光武帝は初め張歩を東萊(トウライ)郡の長官としたが、いつしか劉永(リュウエイ)の
命令を受けて斉王となった。
漢の将軍:耿弇(コウエン)が、たびたびこの張歩と戦って大いにこれを破り、祝阿(シュクア)、
斉南(セイナン)、臨葘(リンシ)の諸城を抜き取った。
そこで帝は臨葘に行って漢軍をねぎらい、耿弇(コウエン)を賞讃しました。
将軍前在南陽建大策。
将軍前(さき)に南陽(ナンヨウ)に在(あ)って大策(ダイサク)を建(た)つ。
将軍は以前、南陽におった時、(齊国攻略の)雄大な計画をたてたが、
嘗以爲落落難合。
嘗(かっ)て以爲(おも)へらく落落として合(あ)ひ難(がた)しと。
あまりに志が大きすぎて自分の考えとは合わず、実行は覚束ないと思っていた。
【有志者事竟成也】。
志ある者は事(こと)竟(つひ)に成(な)る、と。
なるほど、志さえ固ければ何事でも結局は成就するものであるわい。
歩敗、齊地悉平。
張歩敗れ、齊の地悉(ことごと)く平(たひら)ぐ。
張歩が敗れ、齊の地は全て制定された。