【無信不立】は、「信なくば立たず」と訓読されまして、政治への信頼がなければ、国家も人も成り立って行かない。すなわち、国民の信頼がなければ政治は成り立たない、という意味になります。
『論語』顔淵(ガンエン)篇に出てくる言葉です。
子貢(シコウ:孔子の弟子。雄弁家。商才に長け莫大な財産を残しました)が、政治の要点を尋ねた場面です。
子曰、足食、足兵、民信之矣。
子曰く、食を足(た)らし、兵を足らし、民をしてこれを信ぜしむ。
孔子が言いました、
食を満足させ、軍備を充足し、人民に信義あらしめる、
すなわち、
経済生活の安定、国防の充実、道義教育の完成である。
この後、子貢は、優先順位をたずねます。最優先は『信頼』である。という孔子の答えです。
自古皆有死、民無信不立。
古(いにしえ)より皆死あり、民は信なくば立たず
昔から人はいつかは必ず死ぬ。〔けれども〕政治への信頼がなければ、
国も人も立ち行かなくなるからだ。