【君子は本(もと)を務む】と訓読されまして、君子という者はものの根本に力を注ぐものだ、という意味です。『論語』學而篇にある言葉です。
有子曰、其爲人也、
有子(ユウシ)曰(いは)く、其の人と為(な)りや、
有子が言いました、その人柄が
孝弟而好犯上者、鮮矣。
孝弟にして上(かみ)を犯すことを好む者は鮮(すく)なし。
孝、すなはち親を敬愛し、弟、すなはち兄思いであって、それで目上の人にさからい、
たてつくことの好きな者は、まず少ない。
不好犯上而
上(かみ)を犯(おか)すことを好(この)まずして
目上の人にさからい、たてつくことを好まない人柄で
好作亂者、
乱(らん)を作(な)すことを好(この)む者(もの)は
社会平和を乱す騒動ずきの者は
未之有也。
未(いま)だ之(こ)れ有(あ)らざるなり。
絶対にない。
君子務本、
君子は本を務む、
いったい、君子という者は、ものの根本に力を注ぐものだ。
本立而道生。
本立(もとた)ちて道(みち)生ず。
なにごとも、根本がしっかり定まれば、その先の道はおのずから開けるものだが、
孝弟也者、其爲仁之本與。
孝弟なるものは、其(そ)れ仁(じん)の本爲(た)るか。
この孝と弟は、結局、人の最高道徳である仁という徳の根本と言ってよいだろうか。