おごりたかぶって、人を見下し、謙虚でないことをいう四字熟語です。
【傲】は「人+敖」からできた形声文字です。「敖」が音を表すのですが、この字は
「土(長髪)+方(死者)+攴(打つ)」で構成されていまして、呪いを祓う儀式を
表現する字として作られました。人と結びついて、呪霊をもって人に威圧的に
なるという意味になり、「おごる」ことを表します。
【岸】は、「きし」、「がけ」の意味のほかに「けわしい」、「かどだっている」と言う意味もあります。
ここから「かどかどしい」、「おごる」という意味が派生的にでてきました。
そこで【傲岸】は「おごりたかぶる」の意味になります。
【不】は否定、打ち消しの意味を表す字ですが、最初は草花の蔕(へた)を表す字として
作られました。仮に「否定、打ち消し」で使っていたのが、仮(かり)末代(まつだい)として
現代にいたっています。これを、文字の作り方、使われ方を示す『六書(リクショ)』のなかの
「仮借(カシャ)」といいます。
【遜】は、「辶+孫」からできた形声文字です。意味は「のがれる」、「したがう」、「ゆずる」です。
2010年に196字が新たに常用漢字となりましたが、【不遜】の【遜】もその一つです。
【不遜】は、従順でない、思い上がった態度という意味になります。
山岡荘八の小説、『伊達政宗』に【傲岸不遜】が見られます。
・・・・・・ したがって、伊達政宗の【傲岸不遜】な行動など手に取るように知っていた。
無意識の【傲岸不遜】な態度が、パワハラの温床ではないでしょうか。