戦いにおける心構えを四文字で象徴的に表したものです。
『孫子』軍争篇に出ている言葉です。
この軍争篇は、敵よりも遅く出発しながら、敵よりも先に戦場に到着する戦術が述べられています。
先に戦場に到着して、待ち構えているのが有利だからと孫子は言ってます。
【風林火山】は、軍隊の進退について書かれている文章の中から四つ選んで四文字にまとめたものですが、実際の軍争篇には、六つの戦術が述べられています。
① 其疾如風・・・其の疾きこと風の如く・・・・・・・・・・・・移動するときは風のように速く
② 其徐如林・・・其の徐(しず)かなること林の如く・・・・・・静止するのは林のように静かに、
③ 侵掠如火・・・侵掠(しんりゃく)すること火の如く・・・・・攻撃するのは火のように、
④ 難知如陰・・・知りがたきこと陰の如く・・・・・・・・・・・隠れるには陰のように、
⑤ 不動如山・・・動かざること山の如く・・・・・・・・・・・・防御は山のように、
⑥ 動如雷霆・・・動くこと雷霆(らいてい)の如し・・・・・・・出現は雷のように突然出てくる。
この章句の最後に
【迂直之計(ウチョクのケイ)】を先知(センチ)する者は勝つ。これ軍争の法なり。
【迂直之計】:迂回しておいて速やかに目的を達成する計略のこと、を言っています。
これを敵に先んじて察知するのが、軍争の方法である。
【風林火山】は武田信玄の軍旗に用いられたと言われていますが、確証はないそうです。
更には井上靖の小説『風林火山』が初出ではないのかと、さえ言われているようです。