自分の欲望にとらわれて、わがままな振る舞いをすることを表わした四字熟語です。
【梁冀:リョウキ。?~159年】は人名です。
中国の後漢の政治家です。妹が順帝(125年~144年)の皇后になると、外戚として権勢を振るいだしました。
順帝が亡くなってから、2歳の沖帝(144年~145年)、8歳の質帝(145年~146年)へと帝位が移ります。
幼い皇帝をさしおいて、政治は完全に梁冀が握り権勢を振るいました。
それを不満に思った質帝は梁冀に「これは跋扈(バッコ)将軍なり」と言いました。
梁冀は質帝を幼いながらも聡明で御し難いと思い、毒殺してしまいました。
【跋:バツ】は「ふむ・こえる」と言う意味です。
【扈】は、魚を取る水中の竹かごで、大きな魚はそれを越えて逃げ去るので、
【跋扈】は臣下が権威をほしいままにして人君をおかすと言う意味にも、用いられます。
次の桓帝(カンテイ:146年~167年)の梁冀誅滅作戦により、梁冀夫妻は自殺し、その他の梁氏一族もほとんど粛清されました。梁冀の家財を売却処分したところ、その金額は天下の租税を半減できるほどの巨額だったそうです。
後漢はこのあと霊帝(レイテイ)、少帝、獻帝(ケンテイ)と滅亡への道を歩み、
220年、魏に滅ぼされ三国志の分裂時代へと進みます。
【梁冀】が【跋扈】していたのは、1900年ほどまえの時代でした。
現代は【パワーハラスメント】と名を変えているように思えます。