【左顧右眄】は、まわりを気にしない堂々とした様子を言います。
三国時代:魏の詩人、曹植(ソウショク)が友人の呉季重(ゴキチョウ)に宛てた書簡文『呉季重に與(あた)ふるの書』に記載があります。
曹植は曹操(ソウソウ:武帝)の第三子です。この書簡は、六朝時代に編まれた『文選』(モンゼン)に収められています。
【左顧右眄】はこの書簡で、昔の宴席での呉季重の様子を追想したくだりに出てきます。
【左顧右眄】して、人無きが如しと謂ふ。豈(あに)、吾子(ゴシ)の壮志に非(あら)ずや。
あなたが左右を見回す様子は、傍(かたわ)らに人なきがごとしのように思われました。
なんと雄壮な志ではありませんか。
書簡文にありますように、【左顧右眄】は、大勢の中で、堂々たる振舞をする言葉として使われています。
その後、周りの人の思惑ばかり気にする意味に変わり、語順も【右顧左眄】が優勢になってきています。