自分の一本の毛を抜けば天下に利益を与えることができる時でも、自分のためにならなければ抜かない。自分の利益だけを考えた、きわめて利己的な人のたとえを言った四字熟語です。『孟子』尽心上
孟子曰、
孟子曰く、
孟子が言いました
楊子爲我、
楊子(ヨウシ:極端な個人主義者)は我が爲(ため)にす。
楊朱(楊子)は、自分本位にしか考えない。
拔一毛而利天下、
一毛(モウ)を拔きて天下を利するも、
だから、たといわずか髪の毛一本を抜くだけで天下の利益となるとしても、
不爲也、
為(な)さざるなり。
決してそれを行なわない。
墨子兼愛、
墨子(ボクシ:無差別の博愛主義者)は兼(か)ね愛す。
墨子は兼愛する。
摩頂放踵、
頂(あたま)を摩(すりへら)し踵(くびす)にまで放(いた)るとも、
たとい、頭の天辺(テッペン)足の踵(かかと)まですり減らしても、
利天下爲之、
天下を利することは之(これ)を爲(な)す。
天下の為となることならばそれをするのである。