【一言一行】は文字通り、一つの言葉と、一つの行為ということですが、『顏氏家訓:ガンシカクン』によりますと、大変に重みのある四字熟語に変身します。
出典は、『顏氏家訓』慕賢篇です。
原文、訓読、口語訳は、久米旺盛生・丹羽隼人・竹内良雄編訳による『徳間書店』発行の
『顏氏家訓』顏之推著のベラ写しであります。
凡有一言一行、取於人者,皆顯稱之、
およそ一言一行も人に取る者あれば、みなこれを顯稱し、
たとえ、他人から一言、一行でも借用することがあったならば、すべて出典を明らかに
すべきであって、
不可竊人之美,以為己力。
人の美を竊(ぬす)みて、もっておのれが力となすべからず。
他人の美を盗んで自分のものとしてはならない。
雖輕雖賤者,必歸功焉。
輕なりといえども、賤者なりといえども、必ず功を帰す。
そしてたとえ相手が若輩であっても、また身分が低い者であっても、オリジナルの
功績を認めなければならない。
竊人之財,刑辟之所處。
人の財を竊むは、刑辟(ケイヘキ)の処するところなり。
他人の財産を盗めば、刑罰を受ける。
竊人之美,鬼神之所責。
人の美を竊むは、鬼神の責むるところなり。
他人の美を盗めば、これは神が絶対許さないであろう。