相手のことなど考えずに、道理に反することを強制する意味です。
【無理】は、道理を欠くこと、道理に反することを言います。
【無理】を含んだ四字熟語に次のようなのがあります。
『無理圧状:ムリオウジョウ』 無理に服従させ、押し付けてやらせること。
『無理算段:ムリサンダン』 無理をして、融通を付けること。
『無理難題:ムリナンダイ』 無理な言いがかり。
『無理矢理:ムリヤリ』 無理を強いて行う様子。
【無体】は、① 形がないこと。無形の意味。
② 無理、無法の意味。
【無理無体】のい場合は、② 無理、無法の意味です。
伊藤左千夫『野菊の墓』で、民(たみ)さんが亡くなって、政夫の親戚が集まっているところです。
お祖母さんが、泣き出して、そこにいた人皆涙を拭いている。僕は一心に畳を見つめていた。
やがてお祖母さんがようよう話を次ぐ。
そのお手紙をお富が読みましたから、誰も彼も一度に声を立って泣きました。あれの父は
男ながら大声して泣くのです。あなたのお母さんは、気がふれはしないかと思うほど、
口説(くど)いて泣く。
お前達二人がこれほどの語らいとは知らずに、【無理無体】に勧めて嫁にやったは悪かった。
あア悪いことをした、不憫だった。民や、堪忍して、私は悪かったから堪忍してくれ。
俄(にわか)の騒ぎですから、近隣の人達が、どうしましたと云って尋ねにきた位でありました。
それであなたのお母さんはどうしても泣き止まないです。体に障(さわ)ってはと思いまして
葬式が済むと車で御送り申した次第です。