【独(ひと)り清(す)めり、独り醒(さ)めり】と訓読されまして、
ただ自分一人が清らかで、酔っていない。
世間は汚れて誤っている。でも自分だけは清節を保ち、道理を弁えている。
古代中国、戦国時代、楚の屈原(クツゲン)が讒言(ザンゲン)により追放され、江南の地をさまよい歩いていました。
漁父が行き合い、「あなたはどうしてこんな所に来られたのですか」と屈原に聞きました。
挙世皆濁、我独清。
世を挙げて皆濁(にご)り、我独(ひと)り清(す)めり。
世の中すべてが濁っている中で、私一人だけが清らかです。
衆人皆酔、我独醒。
衆人皆酔(よ)ひ、我独(ひと)り醒(さ)めたり。
人々がみな酔っている中で、私一人だけが醒めています。
是以見放
是を以て放たる、と。
だから追放されたのです、と。