やりたいことをやりたいだけやって遊んで暮らすことを、言います。
【放肆】は、勝手気ままで節度がないこと。
【肆】は、①つらねる、②みせ、③ほしいまま、などの意味があります。
【遊惰】は、遊び怠けること。
【惰】は、おこたる、なまけるの意味です。
『金色夜叉』中編(三)にみられます。
殿はこの失望の極、【放肆遊惰】の裏(うち)にいささか懐(おもひ)を遣(や)り、一具(イチグ)の
写真機に千金を擲(なげう)ちて、これに嬉戯(キギ)すること少児(シヨウニ)の如く、身をも家をも
外(ほか)にして、遊ぶと費(ついや)すとに余念は無かりけれど、家令(カレイ)に畔柳元衛(くろ
やなぎもとえ)ありて、その人迂(ウ)ならず、善く財を理し、事を計るに由(よ)りて、かかる疎放
(ソホウ)の殿を戴(いただ)ける田鶴見(たずみ)家も、幸(さいはひ)に些(サ)の破綻を
生ずる無きを得てけり。