君主を補佐して、国を正しく治める有能な宰相(総理大臣)や大臣のことを言います。今の日本で言いますと、有能・・・かどうかは分かりませんが、政府のことを言っている四字熟語です。
【和羹】は、いろいろな材料や調味料で作られたスープをいいます。
【塩梅】は、塩と梅酢のことです。
和羹は塩梅を加えておいしくなることから、国民が安全で、安心して暮らせるための法律をつくり、国を良いものにするため、我が身を惜しまず働く大臣のことを意味することとなりました。
出典は『書経:ショキョウ』の説命(エツメイ)篇です。『書経』は、儒教の経典、五経の一つに挙げられています。
王曰く、若し酒醴(シュレイ)を作らば、爾(なんじ)は惟(こ)れ麴糵(キクゲツ。若し和羹を作らば、爾は惟れ塩梅。爾交々(こもごも)予を修めて、予を棄つること罔(な)かれ。予惟れ克(よ)く乃(なんじ)の訓(おしえ)を邁(つと)めん。
王が言いました。もし酒や甘酒を作るとするならば、汝は麹(こうじ)にあたることになる。
もし味の良いスープを作るとするならば、汝は塩と酢にあたることになる。
汝はいろいろの面で予を正してほしい。
この話に出てくる「王」は殷の22代武丁(ブテイ)王です。「爾」と呼ばれ、王に随分と気を使わせているように見える御家来は「傅説:フエツ」といいます。
「傅説」は武丁王がやっとの思いで探し出した人物で、抜擢(バッテキ)して国政を委(ゆだ)ねたところ、いままで衰退の一途を辿(たど)っていた殷が繁栄を取り戻すことになったのです。
今の日本で、【和羹塩梅】と称される大臣はいるのでしょうか。
それよりもなによりも、今の政治をどう味付けしようと、食べられたものじゃないと思うんですが。
素材を変えないといけないんじゃないでしょうか。