【天に跼(せぐく)まり、地に蹐(ぬきあし)す】と訓読されまして、
背をかがめて、抜き足差し足で世の中をわたることから、肩身が狭く世を憚って暮らすことです。
『詩経』小雅(ショウガ)正月(セイゲツ)に出ています。 4言×94句の長い詩です。
41 謂天蓋高、 天を蓋(けだ)し高しと謂(イ)ふも、
天は高いと言うものの
42 不敢不局。 あへて跼(キョク)せずんばあらず。
(今の世では)どうしても身をかがめて渡らないわけにはいかない。
43 謂地蓋厚、 地を蓋(けだ)し厚しと謂ふも、
地は厚いと言うものの
44 不敢不蹐。 あへて蹐(セキ)せずんばあらず。
(今の世では)どうしても抜き足差し足であるかないわけにはいかない。
45 維號斯言、 維(こ)れ斯(こ)の言(ゲン)を号(よ)ぶは、
(今私が)このように叫ぶ言葉には
46 有倫有脊。 倫(リン)あり脊(セキ)あり。
(誠に)道理があるのに
47 哀今之人 哀し 今の人、
哀しいことよ今の世の人は、
48 胡為虺蜴。 胡為(なんす)れぞ虺蜴(キエキ)のごとくするや。
どうして蜥蜴 のように潜み隠れなければならいのか。
推古天皇の詔(みことのり 607年)に
朕(われ)聞く、曩昔(むかし)我が皇祖(みおや)の天皇等、世を宰(おさ)むること、
天(あめ)に跼(せかがま)り、地(つち)に蹐(ぬきあしにふ)みて、敦(あつ)く神祇を
禮(いや)ぶ。
とありました。