【物(もの)盛(さか)んなれば則(すなは)ち衰(おとろ)ふ】と訓読されまして、
物事が充分に満たされると、その後は必ず衰退に向かう、という意味の四字熟語です。
『戦国策』の秦策のところに出てきます。
燕の蔡澤(サイタク)が、秦の宰相:應侯(オウコウ)に、
位を極めた者は災禍の及ばぬうちに退くのが身のためです、と
説いている場面で、【物盛んなれば則ち衰ふ】が使われています。
語に曰く、
諺に、ありますが
日中すれば則ち移り
太陽が頭上に達すると傾き始め
月滿つれば則ち虧(か)く、と。
月が満月になると欠け始める、とありますが
物盛んなれば則ち衰ふるは、天の常数なり。
物が盛んになると衰えるのは、天のきまった定めなのです。
進退盈縮変化するは、
進んだり退いたり満ちたり縮んだり、時に応じて変化するのが、
聖人の常道なり。
聖人の定まった在り方なのです。
聖人でもない人が、5年近くも宰相の位置いるのは、とんでもないことだと、蔡澤の声が
聞こえてきそうです。