この世の中に敵なし、という意味ですがそれはあくまでも仁德に基づいた、国民に対して情け深い政治を行ってこそ、天下に敵無き状態になるのです。『孟子』離婁(リロウ:人名)章句上にみえる四字熟語です。
孔子曰
孔子曰く、
孔子が言いました
仁不可爲衆也夫。
仁には衆(おお)きを為(もち)うるところなし。
仁は、大勢でどうにか出来るものではない。
國君好仁、天下無敵、
國君仁を好めば、天下に敵無し。
君主が仁政を行えば、天下に敵なしである。
今也欲無敵於天下而不以仁、
今や天下に敵無からんことを欲して、仁を以(もち)いざるは、
ところが今の君主は、天下無敵になりたいと望みながら、仁政を行わないのは、
是猶執熱而不以濯也、
是れ猶ほ熱(あつさ)を執(すく)わんとして濯(ゆあみ)を以(もち)いざるがごときなり。
これではまるで、熱いものをつかむときに、水で手を冷やさないのと同じことだ。