【無信不立】は、「信なくば立たず」と訓読され、国民から信頼されていない政府は政治を行うことが出来ない。すなわち政治を行う資格がない。政治に何よりも大事なのは、国民の信頼である。
『論語』顔淵第十二、に出てくる言葉です。いまから二千数百年も前から政治には「国民の信頼」が一番大事だ、と言われていました。
国民の多くが信頼していない政府は、すぐやめなければいけません。
子貢(シコウ:孔子の弟子。雄弁家。商才に長け莫大な財産を残した)が政治の要点を尋ねました。
子貢問政。子曰。足食。足兵。民信之矣。
子貢、政(まつりごと)を問う。子曰く、食を足(た)らし、 兵を足らし、民(たみ)之(これ)を信ず。
子貢が政治のことを聴きました。孔子は、食糧を満たし、軍備を充実し、
人民に信頼を持たせることだ、と答えました。
子貢曰。必不得已而去。於斯三者何先。
子貢曰く、必ず已(や)むを得(え)ずして去(さ)らば、斯(こ)の三者に於いて
何をか先にせん。
子貢は、どうしてもやむを得ない場合、三つの中のどれか一つを捨てるとしたら、
何を捨てたらいいでしょう、と聞きました。
曰。去兵。子貢曰。必不得已而去。於斯二者何先。
曰く、兵を去らん。子貢曰く、必ず已むを得ずして去らば、
斯の二者に於いて何をか先にせん。
孔子は言いました、軍備を捨てる。更に子貢は、聞きました、残りの二つの中の
どちらかを捨てなければいけないときは、どちらを捨てたらよいでしょう、と。
曰。去食。自古皆有死。民無信不立。
曰く、食を去らん。古(いにしへ)より皆な死有り。民、信無くんば立たず。
食糧を捨てる、と言いました。人は皆いつかは死ぬものだ。もし人民が(政府に対して)
信頼を失ってしまったら、人間社会は成り立つものではない、と答えました。