【積財(セキザイ)千萬(センマン)、薄伎(ハクギ)の身(み)に在(あ)るに如(し)かず】と訓読され、
千萬両の金を蓄えるよりも、僅かの技芸でも身に着けるにしたことはない、という文章のなかの四字熟語です。
『顏氏家訓』勉學篇に出ていまして、さらに文章が続きます。
積財千萬、不如薄伎在身。
積財(セキザイ)千萬(センマン)、薄伎(ハクギ)の身(み)に在(あ)るに如(し)かず
千萬両の金を蓄えるよりも、僅かの技芸でも身に着けるにしたことはない、
伎之易習而可貴者、無過讀書也。
伎の習ひ易(やす)くして、貴(たっと)ぶべきものは、讀書に過(す)ぐるは無き。
諸芸のなかでも、倣いやすく、しかも価値が高いのは、読書に過ぎるものはない。
世人不問愚智、皆欲識人之多、見事之廣、
世人、愚智(グチ)を問はず、皆、人を識(し)るの多く、事を見るの廣きを欲して、
世の人は賢愚を問わず、誰でも多くの人を識(し)り、
見識を広めたいと思っているのに、
而不肯讀書。
書を讀むを肯(が)へんぜず。
書物を読みたがらない。
是猶求飽而嬾營饌、
是(こ)れ猶(な)ほ飽(あく)を求めて營饌(エイセン)を嬾(おこた)り、
これは、腹いっぱい食べたいと思いながら、御馳走を作ることを怠り,
欲暖而惰裁衣也 .
暖を欲して裁衣(サイイ)を惰(おこた)るがごときなり。
暖かい服を着たいと願いながら、着物の仕立てを怠るようなものである。