本来、夜明けを告げるのは雄鶏であって、雌鶏が鳴くのはまれであります。
雄鶏に代わって雌鶏がときをつくるのは、婦人がはばをきかすことで、ゆくゆくはその家が滅びる
前兆である、という意味の四字熟語です。
儒学のテキストで『春秋』、『詩経』、『礼記』、『書経』、『易経』を五経と言います。
『書経』の牧誓篇にあります四字熟語で【牝鶏(ヒンケイ)の晨(あした)す】と訓読されます。
『書経』の記載に因りますと
殷の、紂王は悪妻である妲己(ダッキ)におぼれ、彼女の意見を何でも実行して国は大いに乱れました。
この紂王を打倒したのが周の武王です。周と殷との決戦の前に作られたのが「牧誓」です。
牝雞無晨。
牝鶏は晨する無し。
雌鶏は時を告げることはない。
牝雞之晨、
牝鶏の晨するは、
もし雌鶏が時を告げるようなことがあれば、
惟家之索。
惟れ家の索(つ)くるなり。
家は滅びる。
大昔の中国は典型的な男尊女卑の社会でしたから、上記のような記載があったのでした。
【牝雞之晨】は、あくまでも大昔の中国でのお話です。