光り輝くほどに明らかなことを、言います。
【灼然:シャクゼン】は、【灼】に①やく ②あきらか ③盛んなさまの意味がありますが、
②「あきらか」に状態を表す【然】を組み合わせまして、光り輝くさま、明らかなさまを表わす
言葉になりました。
【炳乎:ヘイコ】は、【炳】に①あきらか ②手に持つなどの意味がありまして、①の「あきらか」に、
状態を表す助字を組み合わせまして、明らかなさまを表す言葉になりました。
ですから、【灼然】、【炳乎】と類義の語を重ねて意味を強調している四字熟語ということになります。
『吾輩は猫である』の第10章に【灼然炳乎】が出ています。
しかしてその麗質は天下の女性(ニョショウ)に共通なる麗質である。ただ惜しい事には
容易にあらわれて来ない。
否(いや)あらわれる事は二六時中間断なくあらわれているが、かくのごとく顕著に
【灼然炳乎】として遠慮なくはあらわれて来ない。
幸にして主人のように吾輩の毛をややともすると逆さに撫(な)でたがる旋毛曲り
(つむじまが)りの奇特家(キドクカ)がおったから、かかる狂言も拝見が出来たのであろう。