他から束縛されることなく、自分の思い通りに行動することを言います。【不羈独立】としても使われます。
【独立】には、いくつかの使い分けがあります
① ひとりで立っている。 ② 人の力を借りず自分の力で身を立てる。ひとりだち。
③ 他人から見放されること。 ④ ひとりぬきんでる。 ⑤ 俗世間の外にあること。
【羈】は、网+馬+革 から作られた会意文字で、馬の頭部におおいかける革の紐、「おもがい」を
表わす字です。おもがい→たづな→つなぐ、と変化しました。
【不羈】は、すなはち「つながれない」、束縛されない、という意味になります。
【独立】、【不羈】、の類義の二語を重ね、他を頼ることなく、自分の判断で行動することを強調した
四字熟語です。
中島敦『弟子』に【独立不羈】、福沢諭吉『学問のすすめ』に【不羈独立】が見られます。
『弟子』第5章
子路が他の所ではあくまで人の下風に立つを潔(いさぎよ)しとしない【独立不羈】の男であり、
一諾千金の快男児であるだけに、碌々(ロクロク)たる凡弟子然(ボンテイシゼン)として
孔子の前に侍(はんべ)っている姿は、人々に確かに奇異(キイ)な感じを与あたえた。
事実、彼には、孔子の前にいる時だけは複雑な思索(シサク)や重要な判断は一切
師に任せてしまって自分は安心しきっているような滑稽(コッケイ)な傾向も無いではない。
母親の前では自分に出来る事までも、してもらっている幼児と同じような工合である。
退いて考えてみて、自ら苦笑することがある位だ。
『学問のすすめ』第16篇
【不羈独立】の語は、近来世間の話にも聞くところなれども、世の中の話には随分間違いも
あるものゆえ、銘銘にてよくその趣意を弁(わきま)えざるべからず。
独立に二樣の別あり。一は有形なり、一は無形なり。なほ手近くいへば、
品物につきての独立と、精神につきての独立と、二樣に区別あるなり。