【白馬は馬に非(あら)ず】と訓読されまして、こじつけや詭弁のたとえです。
諸子百家のひとつに『名家(メイカ)』があります。名(言葉/名称)と実(事物/内容)との関係を考える学派です。その中の公孫竜(コウソンリュウ)が用いたのが【白馬非馬】説です。
馬者,所以命形也
馬は、形に命(なづ)くる所以(ゆえん)なり。
馬は、形に名付けられた概念である。
白者,所以命色也。
白は、色に命(なづ)くる所以(ゆえん)なり。
白は、色に名付けられた概念である。
命色者非命形也。
色に命くる者は、形に命くるに非(あら)ざるなり。
色に名付けたものには、形の概念がない。
故曰白馬非馬
故に曰く、白馬は馬に非ず。
だから、白馬は馬ではない。
どうですか、今から2300年ほど前のお話です。
当時、馬には通行税がかけられていました。
名家のある人が白馬に乗って関所を通ろうとしました。
【白馬非馬】説を唱えて税を免除されようとしたが、しっかりと税を取られてしまいました。
という話があったそうです。
現実には通用しない、机上の空論だったのですね。