【多言(タゲン)は敗(ハイ)多(おお)し】と訓読されまして、
喋りすぎると、災いが多くなる、ということです。『顏氏家訓』省事篇にある四字熟語です。
口は災いのもと、ということです。
省事篇は、自分の能力を考えないで何にでも首を突っ込むな、という教えが記載されています。
銘金人云、
金人に銘して云う、
ある銅像に刻まれた銘文に、
無多言、多言多敗。
多言するなかれ、多言は敗多し。
しゃべりすぎるな、口は災いのもと、
無多事、多事多患。
多事なるなかれ、多事は患(うれ)い多し。
何にでも手を出すな、面倒なことが増えるだけだ。
至哉斯戒也。
至れるかな、斯の戒めや。
まさに、至言というほかない。
能走者奪其翼、
能く走る者には、其の翼を奪い、
早く走れるものには翼がないし
善飛者減其指、
善く飛ぶ者には其の指を減じ
よく飛ぶものは足が少ない。
有角者無上齒、
角ある者には上齒(ジョウシ)無く、
角があるものには、牙がないし
豐後者無前足、
後を豐かにする者には前足なし、
後ろ足の発達したものには前足がない。
蓋天道不使物有兼焉也。
蓋(けだ)し天道は物をして兼ねあらしめ不使物ざるなり。
このように、天は二物を授けてはくれなかったのだ。