【大人之志】は、【立派な人物になろうとする志】という意味です。
その志を立てるのに、遅すぎることはありません。
その志は常に持っていなければなりません。
佐藤一斎先生が『言志耋録(テツロク)』14条で具体的に説明してくれています。
凡為學之初、
凡そ学を為すの初めは、
学問を始めるには、
必立欲為大人之志
必ず大人(タイジン)たらんと欲するの志を立てて、
必ず立派な人物になろうとする志を立て、
然後書可讀也。
然る後に、書を読む可きなり、
それから書物を読むべきである。
不然、徒貪聞見而巳
然らずして、徒(いたず)らに聞見(ブンケン)を貧(むさぼ)るのみならば、
そうでなく、ただ徒(いたず)らに、自己の見聞を広め、
知識を増すためにのみ学問をすると、
則或恐長傲飾非。
則ち或は恐る、傲(おごり)を長じ非を飾らんことを。
その結果は傲慢な人間になったり、悪事を誤魔化すためになったりする心配がある。
所謂假冦兵資盗糧也可虞。
謂(い)わゆる「寇(コウ)に兵を仮(か)し、盗(トウ)に糧(かて)を資(し)するなり」、
虞(うれ)う可べし。
こういうことであれば、
「敵に武器を貸し、盗人に食物を与える」という類(たぐい)であって
実に恐るべきことである。