【力を戮(あわ)せて心を同じくす】と訓読されまして、力を合わせて心を一つにすることを表わした
四字熟語です。
【戮力】は、力を合わせるという意味です。
【戮】は「翏+戈」の形声文字で
① ころ・す、②さらす。③つみ、ばつ。④はずかしめる。⑤あわせる、力を合わせる、の意味を
もっていまして、
【戮力同心】の場合は、⑤の力を合わせるという意味になります。
【同心】は、① 同じ心。 ② 心を合わせる。③ 男女が約束をかわす、などの意味がありますが
【戮力同心】の場合は、②の心を合わせるという意味になります。
同義の四字熟語としまして、【同心戮力】・【戮力協心】・【戮力壱心:リクリョクイッシン】があります。
いずれも、心を一つにして力を合わせて事に当たるという意味になります。
中国古典のあちこちに使われています。
『国語』・齊語 【戮力同心】
『春秋左氏伝』・成公十三年 【戮力同心】
『春秋左氏伝』・昭公二十五年 【戮力壱心】
『唐書』韋陟(イチョク)伝 【協心戮力】
春秋時代、五覇の魁(さきがけ)である、齊の桓公(在位、前685~前643)は、位につくと、東南、南方、北方の諸侯を制しました。 『国語』齊語の故事です。
與諸侯飾牲爲載、
諸侯と牲を飾り載を爲(つく)りて、
諸侯と生け贄を飾り、祭壇を作り
以約誓于上下庶神、
以て上下の庶神(ショシン)に約誓(ヤクセン)し、
そうして、上下の神々に誓約し
與諸侯戮力同心
與諸侯【戮力同心】
諸侯と力を戮(あわ)せて心を同じくす。