ほんのちょっとの真心という意味ですが、これは自分の真心を謙遜して言ったもので、
本来は、うそ偽りのない真心を表した言葉です。
杜甫の詩で『鄭駙馬(テイフバ:人名)が池台(チダイ)にて鄭広文(テイコウブン:人名)に遇い同じく飲むことを喜ぶ』という長い題名が付いた五言×12句の詩に【丹心一寸】の形で使われていました。
12句の半分を記載します。
不謂生戎馬
謂(おも)わざりき戎馬(ジュウバ)を生ずとは、
よもや安禄山の兵乱が起きようとは。
何知共酒杯
何ぞ知らん酒杯を共にせんとは
もっと驚いたのは、そんな中、今日の酒宴で御一緒できたこと。
燃臍郿塢敗
臍(へそ)を燃やして郿塢(ビウ:地名)敗れ
安禄山の死にざまは董卓(トウタク)のようであり、
握節漢臣回
節を握りて漢臣回(かえ)る
あなたは忠義を守って帰還した蘓武(ソブ)のようだ。
白髪千莖雪
白髪千莖(センケイ)の雪
その頭は、すっかり真っ白になり、
丹心一寸灰
丹心一寸の灰(はい)
その忠義心も燃え尽きて、今や灰となった。