年をとると、無気力になってしまう、と佐藤一斎先生が『言志耋録:ゲンシテツロク』290条でしみじみと
語っています。
余老境懶惰、
余は老境(ロウキョウ)懶惰(ランダ)にして
自分は年をとってから、無気力になり、、
行件都蕪。
行件(コウケン)都(すべ)て蕪(ブ)す。
なすことがすべて乱雑である。
但言語飲食之愼、
但だ言語飲食の愼(つつし)み、
ただ、言葉と飲食の慎みだけは、
比諸少壮、庶乎可。
諸(これ)を少壮に比するに可なるに庶(ちか)し。
若い頃に比べると合格に近い。
又飜思。
又飜(ひるがえ)って思う。
又、一方から考えると、
此即是老衰爾已。
此れ即ち是れ老衰して爾(しか)るのみ。
これは取りも直さず、身体が老い果てた結果である。ということである。