衣服や食べることが充分に満たされてはじめて、礼儀・節度を弁(わきま)えるようになるという意味です。
『管子』牧民第一に出ている言葉です。「牧民」と言う言葉は、君主が牛羊を飼育するように、人民を養育して治めると言う意味です。 春秋時代の考え方です
『管子』は【管鮑之交】で有名な管仲の偉業を敬慕する後世の人達によって書かれたものだそうです。戦国時代から秦漢にかけて成立したと伝えられています。
【衣食礼節】の四字熟語、原文では少し違っています。
倉廩(そうりん)実(み)ちて則ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る。
穀物の倉庫が充実すれば、人民は礼儀や節操を身につけるようになり、
衣食の日常生活が充足すれば、栄誉と恥辱を弁えて行動するようになる。
経済的に恵まれたからと言って、皆が皆礼儀や節度をわきまえるようになるかと言えば、強(あなが)ちそうとも言えないのではないでしょうか。
脳学者さんの話ですが、脳の働きから見ると、人間は衣食が足りないうちは、まともな考え方はできないのだそうです。