【速(すみ)やかならんと欲(ほっ)すれば達(タッ)せず】と訓読されまして、
『何事も早くやってしまおうとすると、かえって成就しないものだ』 と孔子は弟子の子夏(シカ)に教えました。
子夏は孔子より44歳年下の弟子です。孔門十哲の一人で、『文学には子游・子夏』と言われていたお弟子さんです。
『論語』子路篇のお話です。
子夏爲莒父宰、問政。
子夏(シカ)、莒父(キョホ)の宰(サイ)となりて、政(まつりごと)を問(と)う。
子夏が莒父の長官となり、政治についてたずねました。
子曰、毋欲速。
子日く、速(すみ)やかなるを欲(ほっ)する母(な)かれ。
孔子は言いました、
早く仕上げたいと思ってはいけない。
毋見小利。
小利(ショウリ)を見る母(な)かれ。
小さな利益に目を奪われてはいけない。
欲速則不達。
速(すみ)やかならんと欲すれば、則(すなわ)ち達せず。
何事も早くやってしまおうとすると、かえって成就しないものだ。
見小利則大事不成。
小利を見れば、則ち大事(ダイジ)成らず。
小さな利益に目を奪われると、大きなことが成し遂げられない。