【嚔(はなひ)るときは人の説(と)く有り】と訓読され、くしゃみが出たときは、他人が自分の噂をしている、という意味です。
『詩経』邶風(ハイフウ)を出典としています。
終風且曀、
終風 且(か)つ曀(くも)る、
終日 風吹き、曇り空
不日有曀。
日ならずしてまた曀(くも)る。
太陽見えず、曇り空。
寤言不寐、
言(ここ)に寤(さ)めて寐(い)ねられず、
寝ようとしても眼が冴えて、眠るに眠られず、
願言則嚏。
願(おも)いて言(ここ)に、則ち嚏(はなひ)る。
思いめぐらし、嚏(くしゃみ)する。
後漢末の学者、鄭玄(ジョウゲン)の注があります。
今俗人嚔則云人道我、
今俗に人嚔(はなひ)れば則ち、人の我を道(い)うと云うは、
くしゃみが出るのは、他人が自分のことを噂しているからだ、
此古之遺語也。
此れ古(いにしえ)の遺語なり。
昔から言われていることだ。