秘密は漏れやすく、直ぐ広まると言うことを表している四字熟語です。
【附耳の言も千里に聞(きこ)ゆ】を省略したものです。
【附耳】は、相手の耳に口を近づけて、内緒話をすることです。
【附】と【付】は本来、意味の使い分けがはっきりしていました。
【附】は、「つく」の意味で 附着、附録、附近、モチロン附耳も「附」を使うのが本来でした。
【付】は、「あたえる」の意味で 付与、交付、などに【付】が使われています。
いま国語ではいずれの場合も【付】で書かれることが多いようです。
ただし、官庁・法律の用語で、「附属」、「附則」などには【附】を用いています。
現代の官僚たちはこの【附則】にいろいろ、自分たちに都合の良いカラクリを【附け】たすのだそうです。
酷(ひど)い話ですよね。
【附耳之言】は『淮南子(エナンジ)』・説林訓(ゼイリンクン)に出てきます。
田中(デンチュウ)の潦(ロウ)は、流れて海に入り、耳に附くの言は、千里に聞ゆ。
田圃のたまり水も、流れ流れて海に入り、耳に口を近づけてする内緒話も、
千里のかなたに聞えわたる。
【附耳之言】に続けて、説林訓では
統治する全土を見ようと思いながら、足を使って千里を行く事もせず、心中に政治や教化についての戦略も無いままに、万民を統治しようとしても、それはそもそも無理なことである。
と、統治する者の、あるべき姿勢も記載されています。