何もなく、遠くぼんやりしていてかすかな様子を言います。
【虚無】は、何もない。何も無いところ。
【縹渺】は、遠くはるかに見えるさま。ぼんやりしていてかすかなさま。畳韻の擬態語です。
白居易『長恨歌:チョウゴンカ』の84句目、にあります。
83忽聞海上有仙山 忽(たちま)ち聞く 海上に仙山有り
ふと耳にしたのは、海上にある仙山のこと
84山在虚無縹緲閒。 山は虚無縹緲の閒(カン)に在り。
山は、遠くにぼんやりと
85樓閣玲瓏五雲起 樓閣(ロウカク)玲瓏(レイロウ)として五雲起り
玉と輝く楼閣、めでたい五色の雲起こり
86其閒綽約多仙子 其の閒(カン)に綽約(シャクヤク)として仙子多し
なまめかしく美しい、あまたの仙女
87中有一人字太眞 中に一人有り 字(あざな)は太眞(タイシン)
一人の仙女 名は太眞
88雪膚花貌參差是。 雪膚(セップ)花貌(カガン)參差(シンシ)として 是(こ)れなり。
雪の肌(はだえ)に花の貌(かんばせ) まさにあの人
89金闕西廂叩玉扃 金闕(キンケツ) 西廂(セイショウ) 玉扃(ギョッケイ)を叩き
黄金の門の西の部屋 玉の扉を叩き
90轉敎小玉報雙成。 轉じて 小玉をして 雙成(ソウセイ)に 報ぜしむ。
侍女の小玉から雙成に取り次がせる