常用字体で書きますと【一点一画】となります。
漢字を構成する一つの点、一つの画ということですが、「一点一画もおろそかにしない」という慣用表現もあるように、丁寧に文字を書くことを言ってます。
出典は『顔氏家訓:ガンシカクン』書証篇、です。
『顔氏家訓』は北斉(南北朝時代の北朝の国:550年~574年)の顔之推(ガンシスイ)が著した家訓です。全7巻。590年頃に作られました。
もしその説(設文解字のこと)を信ぜざれば、則ち冥冥(無知)にして一点一画を知らず。
と記載されています。
12月12日は『漢字の日』です。
日本漢字能力検定協会が平成7年(1995年)に制定した記念日です。
毎年12月12日、「いい字一字」が「1(いい)2(じ)1(いち)2(じ)」の語呂合わせになることに因んで名付けられたそうです。
常用漢字の前身である当用漢字は、制定されるとき、(いずれ漢字は廃止されるであろうから)当面用いる漢字として制定すればよい、という考え方で、俗字や略字が多用されました。
白川静博士は『字統』で、かなり辛辣な批判を述べられています。でも、2004年に文化勲章を受章なさっています。
敗戦の翌年(1946年)の11月に当用漢字表、が内閣告示として公布された。
学校教育と公文書を主たる対象とするものであったが、漢字の字形は一瞬にして
外科的整形を受けた。
漢字が生まれて以来、どのような時代にも、このように容易に、このように無原則に、
このように徹底的に、全面的な変改を受けたことはない。
はじめ当座の使用を意味した「当用」は、やがて「当為(あたりまえ)」の意とされ、
いまは「常用」と名を改めている。
この誤り多き字形は、これに服従しない限り、学業を履修して社会に出ることも、
社会に出て種々の活動に従うことも、不可能となっている。
誤りを正当として生きなければならぬという時代を私は恥ずべきだと思う。
以前からなんとなく正字體を用いてきましたが、今日からは意識的に正字體で表記させていただきます。具体的なことを言いますと、白川静著『常用字解』で(旧字形)と括弧書きされている字體です。
白川静博士に私淑しております。