世(よ)渉(わた)りの極意は、得・失を弁えることである。佐藤一斎先生『言志耋録』124條にある言葉です。
渉世之道、在得失二字。
世を渉(わた)るの道は、得と失の二字に在り。
世を渉の道は(なかなか複雑ではあるが)、要するに得と失の二字に帰する。
勿得不可得。
得(う)可(べ)からざるを得(う)ること勿(なか)れ。
(すなはち)得てはならないものを得ないようにしなければならない。
(例えば実力にふさわしくない虚名とか、正当でない利益とかいうものである。
勿失不可失。
失(うしな)う可(べ)からざるを失(うしな)うこと勿れ。
(また)失ってはならない物は失ってはならない。
(例えば自己の正しいと信ずる主義主張など)
如此而已。
此(か)くの如(ごと)きのみ。
これが、世を渉るの極意である