うそいつわりに満ちたはかりごと、のことを言います。
【欺:ギ】は、あざむく、いつわる、という意味の形声文字です。
【詐:サ】は、いつわる、あざむく、という意味の形誠文字です。
ですから、【欺詐】は、「あざむき、いつわる」ということを強調した言葉になります。
【術】は、はかりごと、【策】も、はかりごとを表します。
福沢諭吉『学問のすすめ』に、私の調べた範囲では3回も【欺詐術策】が出ていました。
第四編
① 欺きて安全を偸み、詐りて罪を遁れ、【欺詐術策】は人生必需の具となり、不誠不実は
日常の習慣となり、恥づる者もなく、怪しむものもなく、一身の廉恥すでに地を払って
尽きたり。
② しかるに今この士君子、政府に会して政をなすに当たり、その為政の事績を見れば、
わが輩の悦ばざるものはなはだ多く、またかの誠実なる良眠も、政府に接すれば
たちまちその節を屈し、【欺詐術策】、以て官を欺き、かって恥ずるものなし。
第十一編
③ 右のごとく上下貴賤の名分を正し、ただその名のみを主張して、専制の權を行なわんと
するの原因よりして、その毒の吹き出すところは、人間に流行する【欺詐術策】の
容體なり。