【老人 決(ケツ)を少(か)く】と訓読みされまして、老人は決断力が鈍くなる、と言う意味です。
佐藤一斎先生が、80歳過ぎてから著(あらわ)した、『言志耋録』の一節です。
老人少決、以神氣乏也。
老人の決(ケツ)を少(か)くは、神気(シンキ)乏しきを以てなり
老人が決断力が鈍るのは精神の活力が乏しいからである。
唯事理精明、則理以率氣、
唯だ事理(ジリ)精明(セイメイ)なれば、則(すなわ)ち理(リ)以(もっ)て気を率(ひき)い
ただ事柄の筋道が明快でさえあれば、理屈が気力を引っ張って行くから
無此弊耳
此の弊(ヘイ)無きのみ。
弊害は起らない。
『言志耋録』の書き出しは
自分は今年、八十歳になっても、まだ耳も目もひどく衰えるまでには至っていない。
何とこれ幸いなことであろうか。
一息でもある限り、学業をやめるべきではない。
一条ずつ書いて一編となった。
これを耋録という。