頭は竜のように立派で、尾は蛇の尻尾のように尻すぼみになることから、はじめは勢いが盛んだが、終わりはふるわないことの喩に使われる四字熟語です。
【リョウトウダビ】とも言います。
まだ確認していないので、無責任ですが、『景德傳燈録』に出ているそうです。
陳尊者(チンソンジャ)という僧が旅をしていた時、出会ったお坊さんと議論をしました。
相手のお坊さんは、最初、威勢がよかったのですが、
陳尊者は「このお坊さん自分を龍のように見せてるけど、しっぽは蛇だろう」 と思い、
相手のお坊さんに質問をしたところ、その人は黙り込んでしまいました。
『吾輩は猫である』第2章に、【龍頭蛇尾】が出ています。
東風子(トンプウシ)は別段癪(シャク)に障った様子もない。やはり沈着な口調で
「その船頭でせっかくの催しも【竜頭蛇尾】に終りました。実は会場の隣りに女学生が四五人
下宿していましてね、それがどうして聞いたものか、その日は朗読会があるという事を、どこかで
探知して会場の窓下へ来て傍聴していたものと見えます。
私が船頭の仮色(こわいろ)を使って、ようやく調子づいてこれなら大丈夫と思って得意に
やっていると、……つまり身振りがあまり過ぎたのでしょう、今まで耐(こら)えていた女学生が
一度にわっと笑いだしたものですから、驚ろいた事も驚ろいたし、極きまりが悪わるい事も悪るいし、
それで腰を折られてから、どうしても後(あと)がつづけられないので、とうとうそれ限(ぎり)で
散会しました」
第一回としては成功だと称する朗読会がこれでは、失敗はどんなものだろうと想像すると笑わず
にはいられない。
余談ですが、【龍】を「リュウ」と読むのは、呉音読みです。「リョウ」と読むのは、漢音読みです。
『坂本龍馬』は「さかもとリョウマ」です。