【肩を比(なら)べ踵(きびす)に隨(したが)う】と訓読みされまして、次々に続いて絶え間のないさまを表します。『韓非子』の難勢篇に出ています。
且夫堯、舜、桀、紂、千世而一出,
且夫(そ)れ堯、舜、桀、紂は千世にして一(ひと)たび出づるも、
いったい、堯、舜や桀、紂は(特別な人物で)、千年ものあいだに一人出ただけでも、
是比肩隨踵而生也,
是れ肩を比(なら)べ踵(くびす)を隨(つ)いで生(う)まるるなり。
肩を比(なら)べ踵(かかと)をくっつけて引き続いて出たことになるほど、珍しい存在である。
世之治者不絕於中。
世の治者は中に絕(た)えず。
ところが、世間の為政者はみな(特別でない)中程度の人間で続いている。
吾所以為言勢者、中也。
吾れ勢を言うを為す所以の者は、中也。
私が勢を取り上げて論じるのは、その中程度の人々である。
中者、上不及堯、舜、而下亦不為桀、紂。
中とは、上は堯、舜に及ばずして、下は亦(ま)た桀、紂為(た)らず、
中程度というのは、上は堯、舜には及ばないが、
下も亦(ま)た桀、紂ほどではない人々のことである、
抱法處勢則治,
法を抱き勢に處(お)れば則ち治まり,
法を守って権勢の座にいれば良く治まるし
背法去勢則亂
法に背き勢を去れば則ち亂る。
法に背いて権勢の座をされば乱れるものである。