怒りで狂う阿修羅のように、心が激しく揺れ動く様子を表した言葉です。
【修羅】は、好戦的な神で、インドの鬼神と言われている阿修羅の略です。
【苦羅】は、意味を強調するために添える言葉です。
二葉亭四迷の『浮雲』 第一編 第九回 すわらぬ肚(はら)に使われています。
乃(すなわ)ち社内へ進入(すすみい)ッて、左手の方の杪枯(うらがれ)た桜の樹の植込みの
間へ這入ッて、両手を背後に合わせながら、顔を皺(しか)めて其処此処(そこここ)と
徘徊(うろつ)き出した。
蓋(けだ)し、尋ねようと云う石田の宿所は後門(うらもん)を抜ければツイ其処では有るが、
何分にも胸に燃す【修羅苦羅(シュラクラ)】の火の手が盛(さかん)なので、暫らく散歩して
余熱(ほとぼり)を冷ます積りで。
「シカシ考えて見ればお勢も恨みだ」
ト文三が徘徊(うろつ)きながら愚痴を溢(こぼ)し出した。