【兩虎(リョウコ)相(あ)い搏(う)つ】と訓読みされまして、
二匹の虎のように実力伯仲した者や國が全力で戦うことを言います。
出典は『戦国策』楚策です。
張儀が連衡策を楚王に説いているところです。
楚はかって、秦と戦端を開いて、漢中に戦われましたが、楚は勝たず、楚の重臣や爵位の
高い人で死んだ者が七十余人に及び、遂に漢中の地を失われました。
楚の懐王は大いに怒り、軍勢を繰り出して秦の不意をつき、藍田(ランデン)の地で戦いましたが、
またまた負けてしまいました。
此所謂両虎相搏者也。夫秦楚相弊、
此れ所謂(いわゆる)両虎相搏つ者なり。夫(そ)れ秦楚、相(あい)弊(つか)れて、
これは、世に言う『二匹の虎が互いに打ち合う』ことです。
そうして、秦・楚がともに疲れて
而韓魏以全制其後、計無過於此者矣。
韓・魏、全(まった)きを以て其の後を制するは、計、無於此よりも過者矣。
韓・魏、が無傷でその背後を支配するのは、
はかりごととしてこれより誤ったものはありません。
『戦国策』の文中は【両虎】であって【竜虎】ではありません。
恐らく、後の時代に音が似ていることから【龍虎】に変わったものと思われます。