晴れていても、雨降りでも素晴らしい眺めを表す四字熟語です。
北宋の詩人蘇軾(ソショク:1036~1101蘇東坡のこと)が浙江(セッコウ)省の西湖(セイコ)の風景を詠った七言絶句の中の言葉を四字熟語にしたものです。
【晴好雨奇】とそのまま出てくる訳ではありません。
西湖は今の杭州(コウシュウ)市の近くにあります。一時期、蘇軾はここの知事をしていました。西湖の風景を愛し、戦国時代の呉越の戦いを思い出し、西湖に西施(セイシ)のイメージを重ねた詩を作りました。
それが『湖上に飲(イン)す、初め晴れ後に雨ふるの詩』二首です。
その二首目に西施を思って詠み込んだ部分が出てきます。
水光瀲灔(レンエン)として晴れて方(まさ)に好し 水面 キラキラ。 晴れて好し。
山色空濛(クウモウ)として雨亦奇なり 山、朦朧(モウロウ)と煙るさま。雨もまた好し。
若し西湖を把(とら)へて西子に比すれば 西湖を西施に、譬(たと)うれば
淡粧(タンショウ)濃抹(ノウマツ)總て相ひ宜し 薄、厚化粧 共に好し。
春秋時代、会稽山で破れた越王句踐(コウセン)が呉王夫差(フサ)に献じたのが、中国四大美人の一人西施です。因みに「四代美人」は、西施、 虞美人(グビジン)、王昭君(オウショウクン)、楊貴妃(ヨウキヒ) と言われています。
芭蕉が、奥の細道で
『象潟(きさがた)や雨に西施がねぶの花』
と詠んでいるのは、蘇軾のこの詩がもとになっている、と言われています。
東北南部も梅雨入りとなりました。
「梅雨(バイウ)」の語源には
① 梅の実が熟す頃であることから
② 湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(バイウ)」、それで同音の「梅雨」
③ 「毎」日のように雨が降るから「梅雨」
等々あるそうです。 いったいどれが本当なんでしょう。