【危うきこと朝露の若(ごと)し】と訓読されまして、日が昇るとたちまち乾いてしまう朝つゆのように危ういことを表しています。運命や生命の危ういことを言います。
『史記』商君列伝で、秦の孝公(B.C.361~B.C.338)に法治主義を説き、商の君に封じられた
商鞅(ショウオウ:?~B.C.338)に対して趙良(チョウリョウ)が戒めた場面があります。
趙良の戒めを聞かなかった商鞅は、孝公が亡くなると同時に殺されてしまいました。
司馬遷も、商鞅は【天性刻薄:テンセイコクハク】な男であったのであろう。最後に秦において悪名を被ったのは、故あることだったのだ、と述べています。
書に曰く、
書経にあるように
德を恃(たの)む者は昌(さか)え、力を恃む者は亡(ほろ)ぶ。
德を恃(たの)む者は昌(さか)え、力を恃む者は亡(ほろ)ぶ。
君の危(あや)ふきこと朝露の若く、
君の命は、まことに朝露のように危ういものがある。
尚(な)ほ將(は)た年を延べ壽を益(ふや)さんと欲すか。
それでもなお、生き延びたいのであれば
則ち何ぞ十五都を歸し、
(ご自分に与えられた)領地、十五の都を国に返し、
園に鄙(ヒ)に灌(そそ)がざる。
田舎に隠居して田畑に水を灌ぐ生活をなさい。