【魚、水を得て逝(ゆ)く】と訓読されまして、水を意識することなく魚が自由に泳ぎ回っているように、
人も自然の道理を理解することによって、あれやこれやの煩わしさを越えることができる。
『菜根譚』後集67條の冒頭の句です。
魚得水逝、
魚、水を得て逝(ゆ)き、
魚は水があるからこそ自由に泳いでいられる、
而相忘乎水。
而(しか)も水、相(あい)忘(わす)れ。
しかも、水があることを忘れている。
鳥乗風飛、
鳥、風に乗りて飛び、
鳥は風があるからこそ自由に飛びまわれる、
而不知有風。
而(しか)も風有るを知らず。
しかも、風のあることを知らない。
識此可以超物累、
此れを識(し)らば、以(もっ)て物累(ブツルイ)を超へ、
人もこの理窟を悟れれば、物事への拘りから解放され、
可以楽天機。
以て天機(テンキ)を楽しむべし。
自然の妙なる法則を楽しむことができるであろう。