【必ず天の役(エキ)有り】と訓読されます。天は何かの用をさせるために、人をこの世に生み出したのだから、必ず天職があるはず。それをよく考えなければならない。『言志録』第10條で佐藤一斎先生が示唆しています。
【役】を「エキ」と読むのは漢音読み、「ヤク」と読むのは呉音読みです。
人須自省察。
人は須すべからく自ら省察すべし。
人は皆、(次のことを)反省し考察する必要があります。
天何故生出我身、使我果供何用。
天何の故にか我が身を生出し、我れをして果して何の用にか供せしむる。
天はなぜ自分をこの世に生み出し、何の用をさせようとするのか。
我既天物、必有天役。
我れ既に天の物なれば、必ず天の役あり。
自分は天の物であるから、必ず何かの天職なり役目があるはずだ。
天役弗共、天咎必至。
天の役共せずんば、天の咎(とが)必ず至らむ。
この天職を果たさなければ、必ず天罰を受ける。
省察到此、則知我身之不可苟生。
省察して此に到れば則ち我が身の苟(いやし)くも生く可からざるを知らむ。
ここまで反省、考察してくると、自分はただうかうかとこの世に生きているだけでは、
すまされないことが分かる。